Tシャツを何枚か並べて比べると、同じ無地で同じ色なのに「なんとなく高そうに見える1枚」と「安っぽく見える1枚」があります。その差がいちばん出やすいのが首まわりです。Tシャツの首リブの仕様と、肩を補強する肩テープは、着る前にはほとんど意識されませんが、洗濯を重ねたときの首伸びや、着たときのシルエットに直接かかわります。この記事では、TシャツをOEMで作るときに決めておきたい首リブ・肩テープの仕様を、発注者の立場から整理します。
首リブとは何か|Tシャツの「顔」になる部分
首リブは、Tシャツの襟ぐりに縫い付けられている細い帯状の生地です。身頃とは別の、伸び縮みしやすい「リブ編み」の生地を使うのが一般的で、頭を通すときに広がり、着たあとは首にそって戻る役割を持っています。
首リブは顔のすぐ下にあるため、着用時に最も目に入りやすい部分です。リブの幅、生地の厚み、縫い方の違いがそのまま見た目の印象に出ます。無地Tシャツのようにデザインの要素が少ない商品ほど、首まわりの仕様で「ちゃんとした服かどうか」が判断されやすいと言えます。
首リブの仕様で決めること
OEMで首リブを指定するときは、主に次の項目を決めます。工場によって標準仕様があるため、すべてをゼロから決める必要はありませんが、何も指定しないと工場の標準のまま進むことは知っておきたいところです。
1. リブの生地(編み方)
首リブには、伸縮性のあるリブ編み(フライスや、2×1リブなど)の生地がよく使われます。フライスは表裏とも同じ表情で薄手、2×1リブは縦の凹凸がはっきり出て、伸び縮みからの戻りがよい傾向があります。編み方そのものの違いは天竺・鹿の子・フライスの違いでも解説しています。
身頃と同じ色のリブを用意できるかどうかも確認が必要です。生地屋によっては、身頃の生地と同じ糸・同じ染めでリブを用意できる場合と、別の染めで色を近づける場合があり、後者は並べたときにわずかに色が違って見えることがあります。
2. リブの幅
リブの幅は印象を大きく左右します。細いリブはすっきりとした軽い印象に、太いリブはしっかりとしたカジュアル・ヴィンテージ寄りの印象になりやすいです。一般的な無地Tシャツでは、細めから中くらいの幅が多く見られます。
幅を決めるときは、言葉で「細め」と伝えるより、手持ちのTシャツで好みの首まわりを見つけて実寸を測り、数値で伝えるほうが確実です。数値の伝え方は縫製仕様書の書き方も参考になります。
3. 首まわりの形とあき寸法
クルーネック(丸首)の場合でも、首のあき(ネックの開き具合)とリブの付け方で、詰まった首元にも、ゆとりのある首元にもなります。オーバーサイズのTシャツでは首のあきとのバランスも重要になるため、身幅や肩幅とあわせて考えるとまとまりやすくなります(参考:オーバーサイズTシャツの作り方)。
4. 縫い方(ステッチ)
首リブの縫い方は、外から見えるステッチの本数で印象が変わります。
- 一本針・二本針の押さえ:リブの際をステッチで押さえる一般的な仕様。二本針はきちんとした印象になりやすい
- バインダー仕様:リブ生地で襟ぐりの端をくるむように包んで縫う仕様。細くすっきりした首まわりになり、薄手のTシャツやインナー寄りの商品で見られることが多い
どの縫い方が正解ということはなく、商品の雰囲気に合わせて選びます。工場によって得意な仕様や持っているミシンが違うため、希望の仕様が対応可能かは事前に確認しておくと安心です。
肩テープとは何か|首伸び・型崩れを防ぐ補強
肩テープは、肩の縫い目や後ろ首の内側に縫い込まれる細いテープです。主に次の役割があります。
- 肩線の伸びを抑える:Tシャツの生地はよく伸びるため、着脱や洗濯を重ねると肩線が伸びやすい。テープで縫い目の伸びを抑える
- 首まわりの形を保つ:肩から後ろ首にかけてテープを通す「肩から肩へのテープ(背中側の首まわりのテープ)」は、首の後ろのヨレを抑える目的で使われる
- 内側の見た目を整える:縫い代を覆うことで、裏返したときの見た目がきれいになり、肌あたりもやわらかくなる
肩テープは「付いていて当然」と思われがちですが、価格を抑えた商品では省略されていることもあります。省略すると、着用を重ねたときの首まわりの変化が早く出やすくなる傾向があります。
肩テープで決めること
- テープを入れる範囲:肩線だけか、後ろ首まで通すか
- テープの素材と色:身頃と同色にするか、あえて別色にしてアクセントにするか
- テープの種類:綿素材の平織りテープ、伸び止めのテープなど。商品の厚みや用途で選ぶ
後ろ首のテープを別色にしたり、ブランド名入りのテープにしたりして、ブランドの個性を出す方法もあります。ただし、オリジナルのテープはテープ自体の製作にロットや時間がかかることがあるため、スケジュールと数量を確認してから決めましょう。テープや糸などの付属品全般についてはアパレルの副資材とはにまとめています。
ありボディとフルオーダーで変わる「指定できる範囲」
首リブや肩テープを自分で決められるかどうかは、作り方によって変わります。
- ありボディ(既製の無地Tシャツ):首リブや肩テープの仕様は、ボディの品番ごとにすでに決まっています。変更はできないため、品番を選ぶ段階で首まわりを比較することが仕様を選ぶことになります
- フルオーダー:リブの生地・幅・縫い方、テープの範囲まで指定できます。その分、仕様を決める手間と、サンプルでの確認が必要になります
どちらで進めるかの判断はありボディとフルオーダーの違いで詳しく書いています。ありボディを選ぶ場合も、カタログの写真だけで決めず、実物を取り寄せて首まわりを確認するのがおすすめです。
サンプルで首まわりを確認するときのポイント
首リブ・肩テープの良し悪しは、図面や言葉だけでは判断しにくい部分です。サンプルが上がったら、次の点を確認しましょう。
- 平置きで見る:リブが波打っていないか、左右対称に付いているか
- 着て見る:首元が浮いていないか、詰まりすぎていないか、正面と横から確認する
- 引っ張って戻りを見る:頭を通すときの広がり方と、手を離したときの戻り方
- 洗濯して見る:可能であれば何度か洗濯して、首伸びやリブのヨレが出ないか確認する
- 裏返して見る:肩テープが指定どおりの範囲に入っているか、縫い代が肌に当たらないか
修正したい点があれば、「首元をもう少し詰める」ではなく「リブ幅を◯cmに」「首あきを◯cm狭く」のように数値で伝えると、次のサンプルで意図どおりに直りやすくなります。サンプル全体で見るべき点はアパレルのサンプル制作の費用と期間でも紹介しています。
コストとのバランスの考え方
首リブを身頃と同じ染めで用意する、肩テープを後ろ首まで通す、二本針で仕上げる、といった仕様は、いずれも見た目や耐久性の向上につながる一方で、材料や工程が増える分だけ単価に影響することがあります。
すべてを上位の仕様にする必要はありません。たとえば、長く着てもらう定番品は首まわりの耐久性を優先し、イベント用の短期利用のTシャツは標準仕様で価格を抑える、というように、商品の使われ方から優先順位を決めると判断しやすくなります。価格の組み立て方はTシャツのOEM生産、ロット数と原価はどう決まるのかも参考にしてください。
まとめ|シンプルなTシャツほど首まわりで差が出る
- 首リブは、生地(編み方)・幅・首のあき・縫い方の4点を決める
- 肩テープは、入れる範囲・素材と色・種類を決める。首伸びや肩線の伸びを抑える役割がある
- ありボディでは品番選びが仕様選び、フルオーダーでは細かく指定できる
- 好みの首まわりは実寸で伝え、サンプルは着用と洗濯で確認する
- すべてを上位仕様にせず、商品の使われ方から優先順位を決める
無地やワンポイントのTシャツは、デザインで差をつけにくい分、首まわりの仕様がブランドの印象を左右します。首リブや肩テープをどう指定すればよいか迷ったら、参考にしたいTシャツがあればそれを手元に用意して、生産先に相談してみてください。