オリジナルTシャツをOEMで作ろうとしたとき、費用と並んで気になるのが「いつ手元に届くのか」です。TシャツOEMの納期は「発注から◯日」という一本の数字で決まるものではなく、どの作り方を選ぶか、どこまで決まった状態で相談を始めるか、サンプルを何回やり取りするかで大きく動きます。ここでは、Tシャツの納期を工程ごとに分けて見たうえで、着用日や販売日から逆算してスケジュールを組む手順を整理します。
TシャツOEMの納期は「作り方」で二つに分かれる
Tシャツの作り方は、大きく二つのルートに分かれます。既製の無地Tシャツ(ありボディ)を仕入れてプリントや首ネームの加工だけを頼む方法と、生地を選んで型紙を起こし、縫製から一貫して作る方法です。同じ「Tシャツ1型」でも、この二つで納期の桁が変わることが多いため、まずは自分がどちらのルートで作ろうとしているのかをはっきりさせるところから始まります。
- ありボディ+プリント:ボディの在庫があり、入稿データが整っていれば、数週間以内に納品されることが多いルートです。工程の大半はプリント加工と付属の取り付けです。
- 生地から縫製する:生地の手配、型紙、サンプル、量産と工程が積み上がるため、数か月単位で見ておくことが一般的です。
どちらが正しいという話ではなく、シルエットや生地にこだわりたいのか、まず形にして反応を見たいのかで選ぶものです。ルートごとの依頼先の違いはオリジナルTシャツを製作できる工場の探し方と依頼のステップで整理しています。
「納期◯日」の起点はどこか
見積書や案内に書かれている「納期◯営業日」という数字は、多くの場合、データや仕様が確定してからの日数を指しています。問い合わせをした日からの日数ではありません。ここを読み違えると、実際の到着日が想定より数週間後ろにずれることになります。
Tシャツの場合、「確定」の中身は次のようなものです。
- ボディの品番・カラー・サイズごとの枚数が決まっている
- プリントの入稿データが揃っていて、位置と大きさが指定されている
- 首ネームや洗濯ネームなど付属の内容が決まっている
- サンプルを作る場合は、そのサンプルが承認されている
相談を始める段階でこれらがすべて決まっている必要はありません。ただ、「納期◯日」の数字を見るときは、その手前に自分が決める時間が乗ることを前提に読んでおくと、計画がずれにくくなります。
工程を分けて、どこに時間がかかるかを見る
納期を一本の数字で捉えるのではなく、工程ごとに分けて見ると、どこを動かせば短くなるかが見えてきます。Tシャツの生産で時間が乗りやすい工程は、おおまかに次のとおりです。
| 工程 | 時間を決めている要素 | 発注者側でできること |
|---|---|---|
| 問い合わせ〜見積もり | 要望がどこまで固まっているか、やり取りの往復回数 | 枚数・用途・希望納期を最初に伝える |
| 仕様の確定 | 色数・サイズ展開・プリント位置・付属の決定 | 決まっていない項目は「未定・いつまでに決める」と伝える |
| サンプル | 制作の順番待ち、修正の回数、輸送 | 手元の現物を渡して修正回数を減らす |
| 生地・ボディ・付属の手配 | 在庫の有無、生地の染めや編み立て、織りネームの製作 | 定番の品番・カラーに寄せる。付属は先に手配を始める |
| 量産(縫製・プリント) | 枚数、工場の混み具合、繁忙期 | 希望納期を早めに共有し、枠を押さえてもらう |
| 検品・納品 | 枚数、輸送の距離、海外なら通関 | 納品先と受け取り可能日を先に伝える |
表の上から下へ順に進むように見えますが、実際には付属の手配や生地の確保はサンプルと並行して進められることが多く、ここを早く動かせるかどうかで全体の長さが変わります。工程ごとの一般的な期間感はサンプルから量産までの流れと期間の目安にまとめているので、あわせて参考にしてください。
着る日・売る日から逆算する
スケジュールは、着手日から足し算するより、動かせない日から引き算するほうがぶれにくくなります。イベントの当日、店頭に並べる日、予約販売の発送日など、後ろにずらせない日を起点にして、次の順で日付を置いていきます。
- 着用日・販売日を確定する
- そこから予備日を引く。検品で不良が見つかったときの作り直しや、輸送の遅れを吸収する期間です。ここを削ると、何かあったときの選択肢がなくなります
- 納品日を置く。納品後に自分たちで袋詰めや配送をする場合は、その作業日数も手前に置きます
- 納品日から量産にかかる期間を引いて、量産開始日を置く
- 量産開始の前にサンプル承認日を置く。サンプルの修正が1回では終わらない可能性があるなら、その分を見ておきます
- サンプル承認の前に仕様確定日を置く。ここが、発注者側で決めるべきことを決め終える締め切りになります
- 仕様確定日から、見積もりや相談のやり取りを引いて、問い合わせを始める日が決まる
こうして並べると、「問い合わせを始める日」が今日より前になってしまうことがあります。その場合は、ルートを変える(ありボディに切り替える)、サンプルを省略できる範囲を工場と相談する、枚数やサイズ数を絞るなど、どこかを動かす判断が必要になります。無理なスケジュールのまま進めるより、早い段階で工場に「この日に必要」と伝えて、可能な方法を一緒に探すほうが現実的です。
店舗やイベントのスタッフ用に作る場合の逆算の考え方は、店舗・イベントのスタッフTシャツを作るときの進め方でも触れています。
Tシャツの納期が延びやすいポイント
納期が延びる原因は、縫う時間やプリントする時間そのものより、その前後にあることが多いようです。Tシャツで特に起きやすいものを挙げます。
ボディや生地の欠品
ありボディは、人気のカラーやサイズが一時的に欠品することがあります。特定のサイズだけ入荷待ちになると、全体の納品がそのサイズに引きずられます。生地から作る場合も、指定した色の在庫がなければ染めから始まるため、その分の期間が乗ります。定番の品番・カラーに寄せるか、代替を先に決めておくと止まりにくくなります。
入稿データの不備
解像度が足りない、指定の形式になっていない、色数がプリント方式に合っていないといった理由で、データの差し戻しが起きることがあります。差し戻しの往復は、そのまま納期に加わります。プリント方式によって求められるデータの形は違うため、シルクスクリーンプリントと転写プリントの違いと選び方で方式を決めたうえで、工場に入稿の条件を先に聞いておくと手戻りが減ります。
付属の手配が後回しになる
織りネームや下げ札、洗濯ネームは、本体とは別の手配になることが多く、本体が仕上がっても付属が届かず出荷できない、という形で納期に影響します。とくに洗濯ネームは記載内容に法令上の決まりがあり、内容を固めるのに時間がかかることがあります。Tシャツの洗濯表示(品質表示)の作り方を参考に、本体の仕様と並行して早めに固めておくのがおすすめです。
サンプルの修正が言葉で伝わらない
「もう少しゆったり」「もう少し下に」といった修正指示は、受け取る側で解釈が分かれ、直したサンプルがまた違う、という往復を生みます。寸法や基準点で伝える、手元の現物を渡す、といった工夫で往復の回数を減らせます。
海外生産の輸送と通関
海外の工場で作る場合は、生産後に輸送と通関の期間が乗ります。船便か航空便かで日数が変わるため、見積もりの段階でどちらを前提にするかを確認しておきます。詳しくはアパレルの国内生産と海外生産の違いを参照してください。
納期を短くするために現実的にできること
- ありボディで始める:生地・型紙・縫製の工程がなくなるため、最も短くなりやすい方法です。枚数の考え方はTシャツOEMは何枚から作れる?小ロット対応の実際を参考にしてください
- 定番の品番・カラーを選び、色数とサイズ数を絞る:手配が止まりにくく、欠品の影響も受けにくくなります
- 手元の現物を渡す:「これと同じ身幅で」「この位置にこの大きさで」と現物で伝えると、サンプルの往復が減りやすくなります
- 付属を先に動かし、返信をためない:付属は本体と並行して手配し、発注者の確認待ちで止まる時間を減らします
相談するときに伝えておきたいこと
納期の相談は、「いつまでにできますか」と聞くより、「この日に必要で、いまこの状態です」と伝えるほうが、具体的な答えが返ってきます。最初の問い合わせで伝えておきたいのは次の点です。
- 必要な日(着用日・販売日)と、その理由
- 作り方の希望(ありボディか、生地から作りたいか、どちらでもよいか)
- 枚数と、サイズ・カラーの内訳のおおまかな見込み
- デザインの状態(入稿できるデータがあるか、ラフの段階か)
- 付属の有無(首ネーム・下げ札・洗濯ネームを付けるか)
- 決まっていない項目と、いつまでに決められるか
問い合わせ全般で伝えるべき情報はアパレルOEMの依頼方法|最初の問い合わせで伝えるべきことにまとめています。
まとめ
- TシャツOEMの納期は、ありボディ+プリントか、生地から縫製するかで大きく変わる
- 「納期◯日」は仕様・データ確定後の日数を指すことが多く、手前に自分が決める時間が乗る
- スケジュールは着用日・販売日から逆算し、予備日を先に確保する
- 延びる原因は縫製やプリントそのものより、欠品・データ不備・付属・サンプル往復にあることが多い
- 間に合わないと分かったら、ルート・サンプル・枚数のどこを動かせるかを工場と早めに相談する