Tシャツを自社ブランドやノベルティとして販売するとき、避けて通れないのが洗濯表示(品質表示)です。デザインや生地の話に比べると地味な工程ですが、これは作り手の好みで省略できるものではなく、法律で表示が求められている項目です。ここでは、Tシャツの洗濯表示の作り方を、記載すべき内容・記号の並び方・入稿までの進め方に分けて整理します。
洗濯表示は「つけるかどうか」を選べるものではない
日本国内で販売される繊維製品は、家庭用品品質表示法(および繊維製品品質表示規程)の対象になります。Tシャツもここに含まれるため、原則として消費者が購入前に見られる状態で、決められた項目を表示することが求められています。
「小ロットだから」「ノベルティで販売はしないから」といった理由で表示を省略してよいかどうかは、配布・販売の形態によって判断が変わる部分があります。とはいえ、後から表示だけを付け直すのは手間もコストもかかるため、生産に入る前の段階で表示内容を固めておくほうが安全です。取引先の量販店やECモールが、法定項目に加えて独自の表示ルールを設けていることもあります。
Tシャツの洗濯ネームに入れる項目
Tシャツの場合、一般的に次の内容を1枚のネーム(タグ)にまとめることが多くなります。
- 組成表示 — 「綿100%」「綿60% ポリエステル40%」のように、繊維の種類と混用率を記載します。衿リブや別布を使っている場合は、部位ごとに分けて書く形が一般的です
- 取扱い表示(絵表示) — 洗濯・漂白・乾燥・アイロン・商業クリーニングの扱いを記号で示します
- 表示者名と連絡先 — 表示した事業者の名称と、住所または電話番号。ブランド名だけでは足りないとされる点に注意が必要です
- 原産国 — 品質表示法の必須項目とは別の枠組みですが、消費者が誤認しない表示になっているかという観点から、実務上は記載しておくケースが多くなっています
- 品番・サイズ表記 — 法定項目ではありませんが、在庫管理や再生産のために入れておくと後の運用が楽になります
表示者名の欄には、実際に表示を行った事業者を書きます。工場に生産を任せていても、自社ブランドとして販売するのであれば自社名を入れる形になることが多く、この点は工場と最初に確認しておきたいところです。依頼時に何を伝えるべきかはアパレルOEMの依頼方法でも触れています。
取扱い表示(絵表示)の並び順
取扱い表示の記号は、2016年12月からISO規格に整合したJIS L 0001に基づくものへ切り替わっています。「洗濯機の絵に数字」「三角形」「四角に丸」といった記号がそれにあたります。記号を並べる順序も決まっており、次の並びで左から配置するのが基本です。
| 順番 | 記号の種類 | Tシャツでよく見る内容 |
|---|---|---|
| 1 | 洗濯(洗濯機・手洗い) | 液温の上限と洗い方の強さ。綿の定番ボディでは40℃前後を上限とする指定が多く見られます |
| 2 | 漂白 | 塩素系・酸素系の可否。色物のTシャツでは酸素系のみ可とする指定が一般的です |
| 3 | 乾燥(タンブル乾燥・自然乾燥) | 乾燥機の可否と、吊り干し・平干しなどの干し方 |
| 4 | アイロン | 底面温度の上限。プリント部分への配慮を付記することもあります |
| 5 | 商業クリーニング | ドライクリーニング・ウエットクリーニングの可否 |
記号は「この扱いに耐えられる上限」を示すもので、必ずその方法で洗わなければならないという意味ではないとされています。迷ったときに厳しい側(低い温度・弱い洗い方)へ倒したくなりますが、実態と離れすぎた指定は消費者にとって扱いにくい商品になります。生地の試験結果や、ボディメーカーが公開している表示を参考に決めるのが現実的です。
Tシャツで判断に迷いやすいところ
プリント部分の扱い
プリントの有無で、適切な表示が変わることがあります。プリント方法によって熱や摩擦への強さが異なるためで、たとえばアイロンをプリント面に直接当てないよう促す一文を添える例は少なくありません。こうした「記号では表しきれない情報」は、付記用語やアテンション文として文章で添えます。プリント方式ごとの性質の違いはシルクスクリーンプリントと転写プリントの違いで整理しています。
部位ごとに素材が違う場合
身頃は綿100%でも、衿リブにポリウレタンが入っていることがあります。この場合は「身頃:綿100%/衿:綿95% ポリウレタン5%」のように部位を分けて書く形が一般的です。混率は部位ごとに合計100%になるよう整理します。ボディを仕入れて使う場合は、ボディメーカーが公表している組成をそのまま引き継げることが多いので、仕様確定の段階で資料をもらっておくと確認が早く済みます。
縮み・色移りをあらかじめ伝える
綿のTシャツは洗濯で寸法が変わることがあり、濃色では色移りが起きる場合もあります。こうした素材の性質は、あらかじめアテンション文として伝えておくことで、購入後の行き違いを減らせることがあります。「濃色は淡色のものと分けて洗ってください」といった短い一文でも、書いてあるかどうかで受け取られ方は変わります。
作成から入稿までの進め方
実務としては、おおむね次の順序で進むことが多くなります。
- 1. 組成を確定する — ボディの仕様書、または生地メーカーの試験成績書から部位ごとの混率を拾います
- 2. 取扱い表示を決める — 組成と加工(先染め・製品染め・特殊加工の有無など)をもとに記号を選びます
- 3. 表示者名・連絡先を決める — 自社名と、住所または電話番号を確定します
- 4. 版面のサイズを決める — Tシャツの洗濯ネームはタテ9cm×ヨコ3cm前後が一つの目安ですが、記載量や折り方によって変わります。縫い代(縫い付けで隠れる部分)に文字がかからないかを必ず確認します
- 5. 印刷データを工場またはネームメーカーへ渡す — 拡大縮小しても崩れないベクター形式(SVG・AIなど)で渡すのが一般的です
ネームの製作にも最低ロットがあり、枚数が少ないと1枚あたりの単価は上がりやすくなります。生産枚数そのものをどう決めるかについてはTシャツOEMは何枚から作れるかもあわせて参考にしてください。
表示づくりを楽にするツール(自社で作っています)
ここまでの工程のうち、組成から絵表示を選び、版面に組む部分は毎回同じ判断の繰り返しになります。そこで当社(Airera)で「洗濯ネーム作るくん」というツールを作り、公開しています。自社のサービスなので、その前提でご覧ください。
- 素材と混率、加工の有無を入力すると、JIS L 0001:2024 に基づく絵表示が自動で選ばれます(選ばれた記号は手動で差し替えられます)
- 付記用語やアテンション文を添えたうえで、印刷用のSVG・PDF・指示書(Excel)として出力できます
- 版面サイズと縫い代を指定してプレビューでき、リピート生産に備えて内容を保存・履歴として残せます
- 無料登録で5回までお試しでき、以降は月額300円(税込)です
ツールは 洗濯ネーム作るくん から使えます。手書きやExcelで組んでいて、記号の選び方や版面づくりに時間がかかっているようであれば、一度試してみてください。
まとめ
Tシャツの洗濯表示は、組成・取扱い表示・表示者名と連絡先の3つが軸になります。記号には決まった並び順があり、記号で表せない注意事項は付記用語やアテンション文で補います。プリントの有無や衿リブの素材など、Tシャツ特有の確認事項もあるため、生地とボディの仕様が固まった段階で、工場と一緒に表示内容を詰めておくと後戻りが少なくなります。工場選びの段階から相談したい場合は、オリジナルTシャツを製作できる工場の探し方もあわせてご覧ください。